拘置所・刑務所

刑務所内の生活。懲役囚の食事や自由時間、苦労することなど

懲役刑、禁錮刑の有罪判決が確定すると、被告人だった者は刑務所に収監されることになります。

刑務所に収監された人は、更生して社会復帰するために、他の受刑者と共に一定の期間、共同生活を送ることになります。

しかし、彼らがどのような生活を送っているかご存じない方も多いかと思います。

この記事では刑務所内での生活について紹介していきます!

刑務所での一日の生活

まずは刑務所での一日の生活を見ていきましょう。

なお、刑務所のスケジュールは各施設によって異なりますので、以下で紹介するのは、一例であるとご理解ください。

刑務所での一日の流れ

  • 06:45 起床
    部屋の掃除、洗面、人員点検
  • 07:05 部屋での朝食(15分)
    朝食後、部屋を出て作業場に向かう。
    更衣室で作業着に着替える際に、検査を受ける。
  • 08:00 刑務作業開始
  • 12:00 昼食時間(30〜40分)
    作業中に運動時間が必ずあり、個別の面会や診察が行われることもある。
  • 16:40 刑務作業終了
    着替えの際に身体検査が行われ、各自の舎房に帰る。
    入浴は夏期は週3回、冬期は週2回程度。入浴時間は工場毎にシフトが組まれており、早いシフトの場合、15時頃に作業を終了して入浴する。
  • 17:00 夕食
  • 17:00〜21:00 自由時間
    夕食後は自由時間となり、布団に寝転んでテレビや漫画を見たり、読書、手紙を書くなどができます。希望すればクラブ活動にも参加できます。
  • 21:00 就寝

以上が、刑務所での一日の流れとなります。

朝は早く起き、夜は早く寝るという規則正しい生活のほか、懲役刑の場合は平日の日中は刑務作業をすることになります。
禁錮刑の場合でも何もしないと退屈で苦痛なので、ほとんどの禁錮受刑者は、自ら希望して刑務作業を行います。これを「請願作業」と呼びます。

仕事だけでなく長い自由時間もあることを意外と感じた方も多いかもしれません。

また、土日祝日、年末年始、お盆は別スケジュールになっており、起床時間も遅くなり、刑務作業も無いので、一日中、自由時間となります。施設によっては、平日も毎週一日を教育指導日として、テレビの教育番組の視聴や読書の日と指定しているので、実際の刑務作業日は週4日程度となります。

運動会、スポーツ大会、カラオケ大会、芸能人の慰問公演、各種の講演なども随時開催され、その度に刑務作業は休みになるので、年間の労働日数、労働時間は外の世界よりもはるかに少なくなっています。

食事や自由時間について

次に、刑務所での食事や自由時間について詳しく見ていきましょう。

食事

食事は朝・昼・晩と三食きっちり出ます。

食事内容は栄養士が管理し、ヘルシーで健康的なメニューになっており、麦入りご飯を主食とするメニューが中心ですが、おかずは和洋中とバラエティに富んでいます。

また、パン食、麺類だけでなく、ジュース、アイスクリーム、ケーキなどのデザートも定期的にメニューに取り込まれています。

刑務所の食事といえば、俗に「臭い飯」と呼ばれ、まずい食事の代名詞と思われていましたが、現在は全くそんなことはないようです。

多くの刑務所で年一回程度、周辺住民を招待して刑務所見学会を開催し、その際、刑務所で出されているメニューの試食も実施していますが、予想外に美味しくて驚いたという評価が大半となっています。

また、栄養バランスだけでなく、四季に応じた食事も提供されており、例えば、正月や祝祭日などには、おせち料理やクリスマスのチキン料理など、特別な食事が用意されることもあります。

自由時間

休日や夕食後の自由時間には、読書やテレビ、ラジオの鑑賞などが許可されています。

自由時間には就寝前であっても、布団を敷いて横になることが許されているので、テレビを見たり、読書をしながら、そのまま寝てしまっても問題ありません。
つまり、就寝時間前に就寝してもいいのです。

この時間に家族や友人に手紙を書いたり、日記を付けたりします。

また、必要なものがあれば、自分でお金を出して購入することも可能です。
これを「自弁」といいますが、いつでも購入できるわけではなく、購入の申請をできる日は毎月決まっているので、その日に申請を忘れると、次の月まで購入できないことになります。

また、あまりにも生活態度が悪かったり、違反行為を行なったりすると、お菓子など嗜好品の購入が認められなくなります。購入できるものとしては、衣類(下着や靴下など)、お菓子、室内装飾品(写真立てや切り花など)、日用品(ちり紙、ノート、便せん、封筒、切手、筆記用具)、書籍(単行本、雑誌)、新聞などがあります。

運動時間、入浴

健康を維持するためには、運動や身体を清潔に保つことも大切です。
刑期を全うするためにも、運動時間入浴は必要になります。

運動時間については、平日30分間あてられています。

運動内容としては、全員で準備運動をした後は、個々が自由に運動をすることが許されます。
散歩をするも良し、ランニングをしても良し、筋トレをするも良し、野球やソフトボールも可能です。(道具は貸し出しされます)もちろん、何もせずに座って世間話をしても構いません。

年に一回は、運動会や球技大会などのイベントも実施されており、工場対抗戦などがあります。

入浴時間は、夏期には週3回、これ以外の時期は週2回と決まっています。一回の入浴は15分という短い時間となっています。

石けんは支給されますが、自弁で購入したり、差し入れを受けたりすれば、シャンプーやボディソープも使用できます。

皆さんが予想していたよりもはるかに緩やかな生活だと思われたかもしれませんが、自由時間といっても部屋から出ることはできませんし、運動時間といっても決まったグラウンド、体育館内で過ごすわけですし、食事も選べないので、自分のしたいことを自由にできるわけではありません。

しかし、これらの制約される不自由さを我慢できれば、格別辛い生活とまでは言えないのが実際のところです。

刑務所生活で苦労すること

刑務所生活は苦労することが多々あると言われていますが、苦労することにはどのようなものがあるのでしょうか?

雑居での窮屈な生活

刑務所内には、複数人(4名〜6名程度)で寝起きする「共同室(雑居)」と一人で寝起きする「単独室(独居)」があります。

混み具合によりますが、通常は、服役してから数ヶ月から1年程度は雑居で過ごし、その後独居に移ることができます。

ただ、精神的に不安定である、他の受刑者ちのトラブルを繰り返すなどの問題がある場合は、ずっと単独室となります。

雑居は、それなりの広さがありますが、やはり他人と一緒に生活する窮屈さは否めません。
朝食も夕食も、この部屋で一緒に食べ、トイレもテレビも共用です。

皆、他人の機嫌を損ねず、喧嘩にならないように気をつかうので、せいぜい布団に横になっているとき以外は気が抜けません。

ようやく単独室に移ることができたときには、今後気兼ねなく一人で食事をし、トイレを使うことができると誰でも喜びます。

独居での孤独感

懲罰として単独室に収容された者は、日中、畳に座っていなければなりません。
食事時間、自由時間、運動時間、入浴時間は通常通りにありますが、読書、テレビ、ラジオは許されません。

したがって、日中は何も無い部屋で、ただただ壁や畳を見て座っているだけです。自由時間になっても、横にはなれても、やはり天井や壁を見ているだけです。

この「何もすることがない時間」を過ごさなければならない苦痛は相当なもので、だからこそ「懲罰」なのです。

刑務所内でのいじめ

刑務所は閉鎖的な空間です。
刑務官や他の服役している受刑者同士の喧嘩やイジメなど、生々しい刑務所生活の実態が報告されることがあります。

いじめが発覚した場合、いじめをした加害者は、規則を守れなかったとして指導や懲罰を受けることになります。

刑務所の規則は、掲示収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事就床施設法)に記載されています。
同法律150条によると、「特別遵守事項を遵守せず、刑事施設の職員が行った指示に従わなかった場合には、その被収容者に懲罰を科すことができる」と規定されています。

もっとも刑務官は、自分たちの仕事が増えることになってしまう収容者間のトラブル発生を最も嫌います。

このため、いじめを受けたときに刑務官にその旨を申告すれば、すぐに加害者と被害者は引き離されて、別々の作業工場に配置換えされ(もちろん舎房も別となります)、2度と顔を合わすことはありません。

いじめの被害者が刑務官に申告するのは難しいのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

いじめに限らず、収容者が他の者に聞かれずに刑務官と一対一で話ができることは、平日であれば毎日機会があり(これを「願いごと」と呼ぶ)、申告があれば加害者は直ちに取り調べのために隔離されます。

まとめ

今回は、刑務所内での生活について紹介しました。

ではまた!

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